陶芸家を思い最低賃金を思い
陶芸教室に行った
まず、ふくよかな人魚を作り、
ヒマラヤの青い幻の芥子の陶板を作り、
ふたたび、おっぱいのおおきな裸のトルソー人形を作った
心はすっかり芸術家なり、なあんて
美大出の先生も陶芸家じゃない
芸術家になるのは非常に難しいことなのだろう
近い未来にはAIに取られる椅子も多いそうだから
多くの人間はほんとうに食っていけるのだろうか
芸術家になるって甘い夢よね
若いころ、歌手になりたかった
詩人に憧れていた
音楽を野良犬のように聴く
世界を憎んだ小鬼のような少女だった
詩人になるのは無理なのかなぁ、とぼんやり悲しい
10年、夢中で詩をやったからね
陶芸家になる夢想を舌に転がして
お金を稼ぐことが何よりも大切であろうことを思う
病気の人間には病人人生がある
でもネイルアートのように、
指の一本一本に違う花を咲かせるように、
人の性質って百花繚乱の個性だと思うの
豊かであることをまなざしに宿して
自由や友愛やロマンスへの愛だけをポケットに突っ込んで
ロマンする人生を失いたくない
それは酔いなんだよね
高級な酔いはさ、レアものなんだよね
低級な酔いはさ、恥ずかしいけど
代替品の悲しみもあるさ
羽化登仙の質を睨み、その三角構造に目を三角にし、
ああ、私、登山家にロマンを感じたんだった、と身をたしなめる
雪山に耽溺するがつがつした心はいい
エンジンがポンコツな私だけれども
人と比較しても仕方ないのだよね
下を見てもきりがなく、上を見てもきりがない
気持ちよくて楽しくて愛してることを選ぶ自由は素敵だ
標準米や二級酒や汚れたパンツや思わしくない高血圧や、
脂肪のつきすぎた腹や、
いい歳をして深刻な欠落を多数持っていること、
社会の健康な人と比較すると不幸になってしまうし、
罪人になってしまうのだよ
それっておかしいよね、と基本的人権的権利意識は強いけど
調子は悪いけどもっとほしいな、と思う
そう思う不足を満たすために生きていきたい
小学生のころが一番幸せだったが、
それを忘れるくらいに幸せになりたい
そこには自己実現もあるかもしれない
でも、愛する人とともにあることが絶対なのだと思う
それはまるで私の肋骨のように
あなたを必要としてみたい
まだ見ぬ人よ
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