あの頃も。話せないことが増えて大人なのか
若い頃、企業に勤めていた
企業秘密を知ってしまい、それは犯罪だった
知られた口をふさごうと、
企業は私に賠償責任と守秘義務のサインを強要しようとした
喧嘩になって私は会社を辞めた
脅されたことと内密の事情で私は精神疾患を発病した
精神疾患は家族にも理解されず、
その症状は孤独の中で悪化し地獄の苦しみだった
きつい薬を出されて理解力が鈍磨して数年が過ぎた
あの暗がりに生息する病苦の中の孤独よ
通り過ぎる車の作為よ
俳優に取り囲まれたかの偽りの世界よ
多剤投与は病院を儲けさせただろう
医者は愛を語るわけではない
命を預ける恐ろしさよ
自分の身を守れないことの危険と不安の刃物の上を渡る日常よ
不条理に踏みにじられた心の潰れた昆虫のような人間よ
それは人間なのだ
数十年前なら暗い座敷牢に閉じ込められていた人よ
あまたの無念の土壌から
苦しみの谷底へと
長い月日を経て太陽が当たりますように
この世界、苦しみが人を理由としていることの、
悪と不幸を滅ぼせますように
人災という失意を恐ろしくも惨めな、人間の恥をどうにかできないか
私はそう思っているよ
戦争が人の尊厳に対する恥で悪なように
月の裏側に孤独なパラダイスを夢想する人の弱さよ
地獄はこの世界の地上に吹き爛れた病巣だ
地獄がこの地上にある以上は天国もこの地上にしか作れないだろう
オセロをする白と黒の戦争よ
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