昔書いた詩だけれどメビウスの輪のように
愛してるかと毎日訊く女の反吐だ
男はうんざりしているが疑いが足りない
女はそんな自分にうんざりしている
奴隷なら愛の奴隷に
女子高生が瞳をきょろりと輝かせて言う
愛は惜しみなく奪うと誰かが殺人鬼のように言うと
愛は惜しみなく与えるのですと聖女が言う
首を絞めあう力の加減こそが愛ですとSM好きが言い
するとおばあさんが眼鏡をかけなおし
キスは魔法です
赤ちゃんがこの世に生まれて最初に覚えるのがキスです
お母さんのおっぱいにちゅっとね
そして言葉を覚えるの
キスは言葉の始まりと終わりに留まるつがいの蝶なのよ
そう言いました
聖女でも殺人鬼でもない私は
栞を挿し
何にでもなれると思った子供時代をなでる
道端の野草恋しく いくつか見繕い引き抜き
心栄え、心栄え、と呟く
時間から零れ落ちた 迷子のドロップたちは名無しで
みんな無口だけど胸には期待を膨らませている
愛は太陽で皆その周りを遊泳している
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