夜の星がキンと冷えて

冬の夜空は冷え凍り
星がギラギラ
夜空の天蓋のバーテンダーが掌の上で氷を丸くクラッシュして
「これは地球です」、と語る

お月様も凍り付きジンライムが匂う夜だ

氷が鳴って歌い、
グラスで回りしなを作れば、
溶けては時の背を撫でる

大人の孤独者の背を
猫背の猫のようにあしらって撫でる

人生は酔いどれ船だと書いた詩人もいたが
渡りきるならば何を酒とする
昔、私をシャルドネ、と呼んでくれた老詩人がいた

あなたは私の酒
愛は酒
酔いしれて小さな春を興す力よ
そんな例えもいい
喜びと光と香華が漂い
いつか春の物思いを愛の岸に吹き寄せるといい

海風が耳をくすぐって
「おまえを待っていたよ」
そうきっと言ってくれるはず

海の底に鍵が眠り
春の扉はほほを染めて待つだろう

どこかで誰かの誠実がそっと涙を流して
その亡骸が鍵に変わったのだという

そんな海の底の泡の呟きを私は
冬の凍えた星の下に聴いて夜の散歩をした




23/01/18 23:52更新 / 湖湖
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