約束

本屋から注文の詩誌の本が届いたと電話だ
さあ、取りに行かなくちゃ

約束は人間らしさだね

守ることよりも破ることが人間らしさだと思う時
人生は影が差して辛いね

あらゆる貧しさ、
服の無い私の凍えよ
世情の冷たさよりも
灯された優しさを信じながら生きる
雪明りのように
さすり合う手のひらの幻よ

巡る季節の野放図の中で恩赦されて生きる

あなたを許し
私を許し
小さな自分の身を括りながら
微笑を携えて
まだ見ぬ未来と貿易する航海よ

漣、海は荒れなば
裏切りと暴虐を憎み
信じる人を求めて
赤く描いた愛の帆をはためかせて
海原を渡り切る夢想よ

この世はある角度で見れば
愛を信じる者たちの朱印船貿易だ

星が語る不滅は何か
その囁きに天秤秤が愛と争いを分ける
私はどちらの分銅になるのか
この宇宙の大伽藍の下に相応しい我欲を
あなた様にも一欠けらおすそ分け致さん
分け合うことで盛る炎の心を信じて

一筆啓上火の用心
来た、見た、勝った、人生は
愛という柔らかなものを武器にして
愛という温かな光を通貨にして
愛という世界パスポートを
肌に刺青するように朱印して
あなたの瞳を覗き込みたい

愛を想えば、
包帯として
薬として
トンカチとして
スパナとして
家を作るノコギリとして
流れる雲を愛する万人の心の安らぎとして
作物を私たちを、森羅万象を育てる慈しみの雨として

今まで書いた幾千もの詩なんて
すべてただ愛のために書いたのさ









23/01/03 20:31更新 / 湖湖
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