夜獣
真っ赤な血が迸った
高層ビルが自殺幇助した
夜を嘲笑うかのように
立つ一人の少女
手には凶器
感じていたのは狂気
笑顔に張り付くのは狂喜
犯した重さを微塵も抱くことすらなく
輝きに欠けた街の下
灯す明かりが有象無象に群れた
音の無い夜に
幸福に飢えている獸がいた
真っ赤な血が迸った
高層ビルが自殺幇助した
安堵して佇む一人の少女
手には汗
感じていたのは解放
笑顔に張り付くのは虚勢
手にかけた事実に後から震え
自らも身を乗り出す
灯す明かりが有象無象に群れた隙間に
淡く嘆く百合の花が落ちる
音の無い夜に
幸福に飢えている獸がいた
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