夜獣

真っ赤な血が迸った
高層ビルが自殺幇助した

夜を嘲笑うかのように
立つ一人の少女
手には凶器
感じていたのは狂気
笑顔に張り付くのは狂喜

犯した重さを微塵も抱くことすらなく
輝きに欠けた街の下
灯す明かりが有象無象に群れた

音の無い夜に
幸福に飢えている獸がいた



真っ赤な血が迸った
高層ビルが自殺幇助した

安堵して佇む一人の少女
手には汗
感じていたのは解放
笑顔に張り付くのは虚勢

手にかけた事実に後から震え
自らも身を乗り出す
灯す明かりが有象無象に群れた隙間に
淡く嘆く百合の花が落ちる

音の無い夜に
幸福に飢えている獸がいた


24/01/26 17:42更新 / 那須茄子
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