モルヒネ
ベランダで錆びた風見鶏が
西の空を指差している
天気は晴れのち曇り
そういえば君はいつも俯いてばかりいたね
この喉の奥にへばりつく
吐き出すには重すぎる固まりきった恋は
噛み終えたガムのように味もしないのに
ずっと口の中にあるんだ
脳を侵食していくよ
白昼夢の中で笑う
鉄屑の笑みが
壊れそうでただ怖かった
僕の不器用な愛の言葉は
いつも宙で霧散する
君が今
僕の心臓が不規則なリズムを刻み
いつか止まることを望んでいるのだとしたら
この患わしい日々の
ただ一つの救いは
君が知らない僕の心の病
この毒を僕だけのものにして
一人で飲み干すことだった
TOP