不稔

鉄塔のうえ
カラスが嗤う
錆びた歯車は今日も回らない
汚い音を立てる

手のひらからこぼれた砂の重さで
涙の跡はただただ遠くなる
ねじれた実
みだれ咲く螺旋
空っぽの部屋には紫陽花

焼きついた残像は今では名も無い栞
僕らのからっぽがどこまでも
その間に挿まれてく

言葉は宙を舞う
だれかがこぼした
不揃いの花火の粉も
一瞬の光で焼け堕ちる
乾いた喉はかすれた祈りで潤いたい


25/09/26 14:01更新 / 那須茄子
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