さようならを告げるたびに
さようならを告げるたびに
街は遠ざかる
手のひらの温度を知る暇もなく
触れた記憶だけが
光の粒となり
僕の影を長く引き伸ばす
待たね、と囁いた風
頬を撫でる頃にはもう
季節は次の色をまとっている
追いすがるほどにほどける指
それでも声は心の奥に根を張る
冷えた午前二時の光が
辺りを淡く染める
ただ黙ってこの場所に留まり
しがみつくことなく
佇んでいるだけ
いつか君の夢に揺れたいと思う
きっと
ずっと先の
朝にも
君の名を口遊んでしまうから
僕は僕で
身を潜めているよ
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