灰
削れた白い粉が舞う中で
私の影だけが凍りついていた
思い出の切れ端は
今でも透明な痛みとなり
風に散らばるようだった
何度も描き直した記憶の地図は
欠けた道筋が繋がらず
ただひたすらに消えかけた光を
その隅で手放していく
遠い遠い
私はまだ追いかけているつもりみたい
あちらでは雪解けの鐘が鳴り響くというのに
ここはただ静寂が
深い深い眠りのように 私を覆い尽くしていく
忘れないで
そんな切実な誰かの祈りがしたような気がした
でもあまりにも淡い響きで
私は耳を澄ませていただけだった
25/04/03 13:45更新 /
那須茄子
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