春の午後は未完成
花びらが舞い降りる午後
通りは薄紅色に染まる
桜のトンネル
どこからか流れる笑い声
木漏れ日が舗道に揺れ影を踊らせる
君と出会ったのは
そんな春の真ん中だった
風にそよぐ髪が陽光を浴び
その瞬間
全てが静止したように感じた
人波の中
君だけが鮮やかに浮かび上がる
名前も知らないのに
心は君の方へと引かれていく
けれど君の視線は
僕の肩越しに向けられていた
遠くで誰かを探している
その瞳の深さに気づいた時
僕はただの通りすがりだと知った
25/04/01 16:49更新 /
那須茄子
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