ゴールデンタイム

窓から入るやわらかな橙色が
まばらに部屋を灯す

ぼんやりと豆腐売りの笛を聞く

笛の音はながく残すのに
なかなか姿を見せないので
何を売っているのか
わたしは知らない

バー
ボー
バー

ここでは町内放送もひび割れていて
言葉はひとつも聞き取れない

光と音だけ

ときどき訪れる
世界も自分もあやふやになる
この瞬間がすきだ

何をしてもしなくてもいいよと
許されている気がする

天井の暗がりがゆっくりと
手を広げるのをみている

夜がおりてくるまで
もうすこし



24/11/19 16:56更新 / 五日
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c