トマト
笑い方を忘れた
シャッターの前
今更になって
目をつぶって
頬を上げてみせる
終わらせるために始めて
壊すために作り上げ
かき消されるだけの言葉たち
ずっと、くぐり抜けてきたのは
ゴールじゃなくて、非常口だったのか
やり方は分かっているはず
だけど、どこへ向かうべきか
そんなものは初めからないって
誰かが昔、言っていた気がする
隣のナスを選ばなかったことに
特別な理由はない
僕がここにいることも
きっと、それと同じだ
満員電車の中
あなたから貰った
リュックの中の、トマトが潰れた
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