牢屋みたいな磨りガラス
私と他者は磨りガラスで隔てられている
引っ掻くととざらざらしてきらきらする
どんな人も淡い色だけになって遠ざかる
「普通の前提」がある人だけが向こう側にいける
同じ物を見て共通の感情を共有し合って
ひとりは寂しくて誰かの体温を欲しがる
それが「普通の前提」
本当はね私も冬が一番嫌いだったの
いつだって春に孤独を曇らせてほしかった
街や空に絵の具が咲くように行き交う人びと
私だけが骨になって世界の外側を探している
普通の世界で言う病気なだけなのに
空は空に見えなくなって、太陽は地面に突き刺さっている
好きな本も人も磨りガラス越しにしか見えなくて、
近づけば近づくほどぼやけて、それがまた綺麗だった
いつか陽が、地面から顔を出して、私の磨りガラスを焼き殺してくれますように
そして、私まで焼けてしまえますように
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