幽霊を引き摺って歩いている
幽霊を引き摺って歩いている
色や影が縋るようで
はっと泣いていた
目眩く絵の具まみれの景色
今の私もいつかの幽霊
未来にしがみつく
形のまま
形を放棄した幽霊にはなろうとしてもなれない。
ある地点を越えてから、
そう確信できてたまらない。
優しさから色を奪って灰がらにして心に溜める。
ぬくもりが回転刃に巻き込まれるのを、
繰り返し再生する。
思えば、
ずっとすり抜けていて、
ずっと、
幽霊なのかもしれない。
心を通さないと空も見えない
幽霊がもやをかける
崩れながら喜んで
仕返しするように泣いた
破けたまま隠して
後ずさりして
凍りついた空気を吸う
幽霊が増えていく
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