空の悔しさ、言葉の悔しさ
縹色と薄紅色が溶け合っていた
雲が優しく見つめている
空は命を訴えているのに
こんなにも
こんなにも美しい空が
果てしない時の中で優しさを放って
何万年と人は同じように瞳でそれを受け取った
ひとびとは日常に引き裂かれる
時に人同士が引き裂き合うこともある
生きるために引き裂かれなければならない人たちがいる
空には死に人が隠れているような気がする
私たちをひきとめる
生きることを悲しくも肯定している
涙を流しながら生を肯定している
こんなにも
こんなにも美しい空があっても
人を切り裂いていく現実はある
どれだけ
どれだけ美しい言葉があっても
破片を散らしてゆく心がある
それでも際限のない美がある
風に揺れる花の影
輝きを止めない海
七色に溶け合う空
それらが心を痛めて生を肯定している
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