睡蓮

私はただ睡蓮でさえいられたらいい

水をゆるしきって溶けいるような

濃淡の影の美しさをうったえる睡蓮でいられるのなら

愛を強いるいやしさを深く知り

夢のようにゆったりと人を慈しみ

たをやかな濃緑の葉を携えて

口をとじて晩鐘に耳をすます

うららかな春の明かりに変化をゆだね

優しく微睡むように死んでいく

生きもののしきたりが貫く睡蓮のように

すうっと背をのばして四季をあびる

25/05/20 01:25更新 / 深紺
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