どんなにひどいこと
黒鍵と白鍵はいさかいなくそこにいるの
赤と青が混ざるときどちらも血は流さないの
水色と橙がふれあう場所に軋轢はないの
人は手を繋ぎながら睨み合う
言葉も空に放れば色が変わる
投げた絆創膏も誰かの体内で刃物になる
列車の中私が一人だけ
窓の外
幾数もの乗客一人の列車が走る
怯えながら窓から手を伸ばして体温を探す
冷たい手が乗った列車は減速して見えなくなった
温かい手が乗った列車の忙しない窓の開け閉めに勝手に傷ついた
私は臆病だから空の奥を見つめて列車酔いが覚めるのを待った
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