どんなにひどいこと

黒鍵と白鍵はいさかいなくそこにいるの

赤と青が混ざるときどちらも血は流さないの

水色と橙がふれあう場所に軋轢はないの


人は手を繋ぎながら睨み合う

言葉も空に放れば色が変わる

投げた絆創膏も誰かの体内で刃物になる


列車の中私が一人だけ

窓の外

幾数もの乗客一人の列車が走る

怯えながら窓から手を伸ばして体温を探す

冷たい手が乗った列車は減速して見えなくなった

温かい手が乗った列車の忙しない窓の開け閉めに勝手に傷ついた

私は臆病だから空の奥を見つめて列車酔いが覚めるのを待った

24/09/06 21:57更新 / 深紺
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c