ネットからテレビからねぶたの囃子が

ふるさとの祭り
ねぶたが出陣したと
スマホとテレビから流れてくる
勇壮なお囃子が聴こえると
指が自然に動いて
リズムをとっている
太鼓を叩いている
血は沸き肉躍る
遺伝子に刻まれている
津軽のリズムは
全身を高揚させる
ああもうそんな時期か
最後にふるさとでねぶたを見たのは
あれは9年前だ
あれから夏には帰っていないのだ
出稼ぎ10年目の夏にも
湘南にいて
遠く離れた故郷をしのぶ
みんなどうしていることか
たまにはメールが来て
いつ帰ってくるのか
来たら連絡しろと友人たちから
呑みの約束
みんな退屈して困っているんだ
そんな友垣の顔がねぶた祭りの動画に重なる
北国の短い夏だ
一瞬の花火のように炸裂する
帰りたいと
その音に呼ばれる
ねぶたで跳ねるのも何十年もない
酒に酔って飛び跳ねて
夜の運行で練り歩いた
それも昔の話だろうか

異郷の地にいて
外国のようなふるさとの報道を見て
そのわたしはエトランゼ


24/08/05 06:11更新 / キム ヒロ
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