土曜日の朝は富士山に向かって走る

土曜日の朝は自転車で走る
街の西へと走る
橋を渡るとき西の方角に
富士山がすくりとそそり立つ
どこからでも見える富士だが
川の土手から仰ぐ富士がいい

仕事もなく家族という桎梏もなく
自由でいられる土曜日は
コーヒーを飲みに走る
誰にも邪魔はさせない
街カフェやマックなど
この日のランチはどうするか
本もどっさりと持ったな

窓からも見える富士山の絵は
どこか銭湯のようでおかしい
窓辺の席について
タブレットを出してキーボードを叩く
どこかに言葉が転がっていて
それを散った花びらのように
拾い集めてうたにする
それは寂しさ紛らす老後の作業
忙しくさせて
自分も忘れる

富士に朝の一杯のコーヒーはよく似合う
どこか気取った時間が大きな壁の前で
冷笑している


24/04/19 07:18更新 / キム ヒロ
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c