言葉の加工場
詩の工房は言葉の原料を加工するところ
新商品を考案するに
文字をこねくりまわし
焼いたり茹でたり混ぜ合わせ
どうにかして新しい味の創造をしたいと
日夜言葉と格闘している
誰も使わない言葉の組み合わせ
思い付きはないのかと
新しい天体の発見が味の狩人のようにと
美味礼讃を書いた
ブリラ・サバランのように
われわれもまた言葉の追及の手を緩めない
どこかにないか
落ちていまいかと
散歩しながら旅をしながら
どこにいても言葉の落葉を探したり
新種の花を探し歩いて
誰も聴いたことのない見たことのない
辞書にない言葉をあてなく探す旅
偶然の産物もある
ふいと見つかることもある
発想はアンテナ
どれだけの本を読み
どれだけの経験をして
多くの人と語らうか
同じことの繰り返しでは生まれない
いつも違う道を歩いて
違う本を読み
知らない人と話す
エウレカを叫ぶために
苦悶するのは出口はある
それに救いはあるのよと
老詩人は言った
たかが言葉遊び
一円もかからない老後の暇つぶし
どんな貧乏な詩人でも退屈はしない
さてとこれからどこに行こうか
道端に落ちている言葉を拾うために
歩き出そうか
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