パストラル
田園を電車は走る
緑がここちよい
目に野山もやさしい
都市から旅に出て
初夏の清々しい雨上がりの
遠い山並み
放牧の柵があり
草をはむ牛がいる
田圃では鶴が舞い降りて
虫や蛙を食べている
雲は流れる
七月の空になると
なんだかとても明るい
高らかな交響曲の蠕動
車窓に額して
食い入るように飛んで行く風景を目にし
わたしはイヤホンで音楽を聴いている
そのパストラル
電車は東北を北上する
しだいに故郷が近くなり
昼過ぎには津軽の山が見えるだろう
妹からメールが来て
車で待っていると
姉たちも北海道から東京から
青森に集合する
平野が広がる
その先に海
帰ってきたぞ
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