カラスの見張り

箒を手にマンション前のゴミ置き場の見張りだ
こんな仕事初めて
カラスたちが飛んでくる
コラーと叫んで追い立てる
隣も向かいもみんなそうで
これは人間とカラスの戦争だ
カラスにも見張りがいる
一番高いビルの上のアンテナに
一羽根のカラスがきょろきょろ
そこから街のカラスたちに指令を出す
どこどこのゴミ置き場は手薄で誰もいないぞ
それっとカラスの大群がそこに向かう
あの手この手でカラス対策
ひとつに唐辛子スプレー
酢と焼酎に漬けた唐辛子を薄めてシュー
それでも逃げない辛味大好きなカラスもいるのか
中身が見えないようにするといいと
隣の掃除のばあさんに聴いた
網だけではどうにもならん
その下にブルーシートで目隠し
さらにブロックを端に置いてどうだ
それでもカラス
どこか隙間に嘴突っ込んで
他のカラスの応援も嘴と足で器用に覆いをずらして
なんと隙間から生ゴミをほじくり出すとは
カラスは頭がいい
どこの大学を出たものか
コラーと箒で追い立てる
こんなわたしは誰にも見せられない
それが仕事だなんて


24/06/26 07:10更新 / キム ヒロ
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c