隠逸
一人がどんなにいいものか
つくづくと家族と暮らしてそう思う
またどこかへ隠れたい
居所も知らせず
わたしはいままで隠居していた
親の居場所も知らない息子たち
それでもなんら困らない
お父さんはどちらへと
人に聞かれたら
知らないとは
隠逸は高潔を守り
地位名声欲もなく
すべてを捨てて出家遁世
仏門に入らないから
単に家を出ることだが
そうなれば名前も捨てて
関わりの一切をかなぐりすてて
わたしは認知老人のように
行方不明になりたい
どこにいるのか
誰も探せない
ほんとうに認知なら
わたしは野生化して
原始人のように
のらで生きているか
こんな嫌な世の中だ
すがりついて生きているのが恥ずかしい
それだけで共犯生活
汚辱にまみれてもそこにいたいか
ぽつんと一軒家で
静かに暮らしたいものだ
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