見るなの寝姿
昔話によくあるのが
見るなだ
夕鶴もそうだし
ギリシャ神話にも古事記にもある
見るなの説話
見たら殺され死に至り
見たら消えていなくなる
わたしはカフカの変身ではないが
寝姿は芋虫
ごろごろと転がり
得体のしれない生物になる
それは見てはいけない寝姿
あれはなんだ
こんな生き物あるかと
見たものらは絶句するほど寝相が悪い
布団とタオルケット五枚重ねて
それも蹴とばしはいでしまい
丸まって何がなんでか分からない
枕も五つ
それも寝たらものの五分であちこち
枕も布団もしていないので
そんなものいらない
ごろごろごろごろ転がり
起きているときもせわしく動くが
寝ていてもより運動するから
朝は起きて疲れる
寝相の悪さは親譲り
親父もすごかった
いま孫がそうで
一緒に寝ていてごろごろ
夜中に顔面キックで目が覚める
布団をかけてもそこにいない
部屋中転がり廻り
寝姿は遺伝した
見るな見るな
見たら笑うから
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