滅びの明るさ

太宰は書いた
実朝の滅びの美
そのあかるさを
終わりはいつも光り輝いて
暗くなんかない
長く続いた春も
やがて枯れて花落ち
老醜のときを迎え
それがいまなら
笑って暮らそう
いつ迎えがくるかしれないが
きちんと対座して
そのときを待つ
それまでは静かに
本を読み
書きものをして
時の移ろいを眺めて
小さないのちにこころを動かし
フィナーレのシナリオの
最後の幕を
演じ切る
なにもこだわることもなく
気持ちがいい
湯船に浮かぶ手足のように軽い
いまが終わりとは思えない
これから長い夏が来る
もう一度回生しようか
周辺は死に急ぎ
追随することもない
まだまだ明るい終末だ
太陽が笑っている
海は光っている
さあ出かけようか

24/06/13 06:06更新 / キム ヒロ
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