異国の空に
ただぼんやりと
空を見ているだけの沈没もいい
することもなく道端の縁石に座り
江南ではもう紫陽花が咲いている
異国の地という感じはしない
どこにでも薔薇はあり故国と同じ花が咲き
空と雲も同じなら
道行く人の顔もまた
マックやスタバの看板も
同じような都会で
きっと世界は金太郎飴なんだろう
どこを切っても同じ街
それでもここは遠い地で
ふるさとのことも忘れ
仕事のこともどこの空
ただただ流れてみる
浮いている
静かだ
うたかたとかデラシネとか
そんな気分でひたっていられる
これは旅の病棟で
転移療法
動きすぎ働きすぎのわたしには
隔離病棟の異国がいい
なにもするな
なにも考えるな
ゆっくりと流れる雲を眺めて
ほんとうの休息を知ったらいい
TOP