ソーハータイジン 豚のしっぽ
戦前の満州で
親父が満人に陰口で
ソーハータイジン豚のしっぽねと
言われていたとおふくろは思い出して笑う
若いときから親父は大風呂敷
それが営林署で使っていた満人には見抜かれて
そう言われていたと
壮大でいいではないかと
本人は別に気にもしないで
むしろ大陸的で小さいよりはいいと
そうほくそ笑んでいたかどうか
おふくろは言う
満人たちには続きがあって
小さな声で豚のしっぽと付けて笑いあう
それが言いえて妙でおふくろも可笑しかった
中国に来て
いまそれを思い出し
上海の地下鉄の中で一人笑う
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