歩き疲れて
どうでも歩いて歩いて
どこかに行きたい
歩くことで疲れさせ
自分を忘れたい
認知症で自分が分からなくなる
のではなく
自分をもてあましていた
身の置き場がない
家族疲れ
生きることに飽きて
そろそろ迎えにこないかと
そう思うとき
親友が亡くなったと連絡が---
先を越された
またおまえはやることがあると
彼は言い残したように
わたしに訃報を突きつけた
いよいよ寂しくなり
どうでもどこでも歩いて
いなくなりたいと
ひたすら歩く
へとへとになって路傍の縁石に座り込み
足は樹木になり
根が生えて
そこから動きたくない
次々にいなくなる
周りは死人ばかりだ
生きているものは苦労ばかり
なにをしているのだ
もう動きたくないほど
自分を痛めつけ
そうして部屋に戻って横たわる
静かに涙が流れてくる
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