旅ほど忙しく疲れるときはない
旅は慰安で休息なのだが
それがわたしには競技
時間に追われタイムを競う
一日でどれだけ貪欲に回れるかと
まるでラリーかオリエンテーリング
博物館も記念館もずらずらと見て回り
閉館までに今度はあっちだ
地下鉄一日券でどれだけ走れるか
それは東京でもしていた
どこに旅しても落ち着かない
地に足が着いていない浮遊層
金があるわけではないが
金も時間もなさすぎる
明日死ぬかもしれないから
今日はとことん遊ぶ
まるで閉園の人生で
ぎりぎりまでアトラクションを乗るように
もったいないもったいないと
人生を使い切るための
旅はとても忙しく疲れるなにものでもない
きっと死んでも脚絆に白装束の巡礼姿に
三途の川の渡し賃と
引導というパスポートで
死んでも旅の続きはしている
そうそう棺桶には
あの世のガイドブックも入れておいてな
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