親父の遺骨

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親父の遺骨
24/11/21 06:04
親父の十三回忌も過ぎて
あるとき姉から唐突にメールが来た
おまえ 親父の骨はどうしたと
死んだとき遺骨グッズと姉妹姪甥で
ストラップにしたりした
それから親父はいつもわたしと海外旅行もした
飲み屋でも ほら これが親父の骨だよと
みんなに見せていた
小さな白い骨の欠片
それがいつもわたしと共にいた

親父は運の強い人だった
中国戦線でもソ連国境でも四度の死地を
奇跡的に乗り越えた
部隊が全滅しても一人生き残る
それと博打も強く
商売で成功し財をなした
女には滅法もてた
94歳まで長生きして天寿を全うした

この親父の骨を持っていたら
女運と金運と健康がいつも傍にいて
お守りみたいになるからなと
それでみんな持っていたのが
あれからどこかに失くした
いつどこでなくなったものか

姉はそろそろ墓に入れておこうと
そう言っていたのがバチ当たりになった
道理であれからいいことがない
姉はそれをずっと大事に持っていたから
確かに健康で金にも困らず元気でいられたと
旅先で落としたのなら
海外のどこかで親父は路上にいる
それはそれで異国で親父は転がって
きっと素敵な日々を送っている
わたしのもそうしてもらいたい
暗い陰湿な墓なんかには入りたくない
まだ息子と孫たちのストラップで
賑やかな家族としていたい

仏壇もお焚き上げして
そのうち墓仕舞いもすることになるか
そうなれば骨なんか何の意味がある
土に還り海に撒かれてそれでいい

いま故人の骨について考える
骨って何なのだろう

24/11/21 12:36更新 / キム ヒロ
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