ママの唐揚げの味
その家にはその家の味がある
おふくろの味とはいう
孫が食べた姉の揚げた冷凍の唐揚げに
あっ これってママの味だと言った
そうかそれでじじの作ったものは誰も孫は食べない
生まれて離乳食からママの味になる
すりこまれてもはやそれでなければ食べない
動物はみんなそうだ
味が違うといつも騒ぐ
なんでもいいから喰えと怒っても
ママの作ったものしか口にしない
可哀想な孫たちは
ママのいない家にいて
なにも食べるものがない
どうしたらいい
なんだったら食べてくれるのか
パパも頭を抱えてしまう
頑固なまで固食になる
それでこの先生きて行けるのか
あるときから母親がいなくなると
食べられるものがなくなるなんて
いまはおふくろの味はレトルトの袋
インスタントばかり食べて
それが子供らの常食になる
そんな餌ばかり食べる子たちは
文明に飼いならされた家畜ではないのか
いいのかそれで
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