プラリネなんて懐かしく
アーモンド生活に入って
ガナッシュに投入して食べたり
砂糖をカラメルにしたプラリネに入れて
香ばしくかりかりと食べる楽しみは
息子も孫たちも知らない
それはわたしが菓子屋の息子だったから
生チョコもプラリネも住まいの下の工場では
いつも大理石のテーブルで作っていた
あの香りあの味
それが子供のときからの普通に遊び場で
職人さんたちからもらえた味覚だった
あれと同じ味を東欧のコソヴォで見つけて
バスの中で食べて国境を越えようとした
セルビアとの峠のイミグレでわれわれは
不意にバスから降ろされる
入国拒否の憂き目に遭い
真夜中の何もない山中で
君はバスのシートに残された
食べかけのブラリネだけがわたしたちを置いて
セルビアに行ったのねと淋しくぼそりと言った
ショコラもいいが
アーモンドはプラリネ
思い出の味がいままた口に広がる
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