遊老だと和尚は言った
遊老という言葉と出会う
大愚和尚がそう呼んだ
老後は自由に縛られずどこへでも行きたいが
みんな薬と医者と点滴に縛られ
身内の世話に縛られ
役職という桎梏に縛られて
身動きがとれない
遊遊たる余生は送れない
世間のしがらみはなんとかしないと
逃げられないでいる
もう仕事は辞めて
家族も捨てて
家も財産も捨てて
関わりの一切を捨てて
どこかに飛んでゆきたいものだ
それができないでいつまでも
もがいている
死ぬ瀬戸際まで
心電図と血圧計と酸素吸入の管に繋がれて
病院のベッドに縛り付けられ
死ぬまで拘束されるのだ
せめて死ぬときは
自分の意志で歩いて砂浜の波打ち際で
旅の途上に斃れたい
遊んで遊んで遊びきって死にたい
そうでなくてはあれもしたいこれもしたいと
未練が残る
したいことばかりがまだまだある四国巡礼も
富士山登山も
世界百カ国一周も
夢はまだまだ未完成
できるうちに遊び尽くしたい
幽霊になってもそれはできるのか
ふらふらと漂い浮かばれない
それでもいいが
生きて息して喰って愛して
書いて読んで歩いて
へとへとになってくたばりたいものだな
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