わたしが一番淋しかったとき

わたしが一番淋しかったとき

華やかな主役でいられた

そこは落ち着かない高い席

底辺のどん底が居心地がいいのに

見下ろす高座には誰もいなかった



わたしが一番淋しかったとき

家族に囲まれ目の廻る忙しさ

みんな自分勝手で無駄遣い

あれが欲しいあれが食べたい

そんな家長は貧しくて



わたしが一番淋しかったとき

妻を捨て親を捨て友を捨て

一家離散でみんなばらばら

家を売り仕事も辞めて

空港から出国するとき



わたしが一番淋しかったとき

みんな次々に死んでゆき

ここは老後の戦地かと

生き残っているのは誰か

手当たり次第に電話してみる



わたしが一番淋しかったとき

仕事に逃げ本に逃げ

旅に逃げて自分を見失うとき

しがらみは切り捨てられず

いつも後ろを振り返る



24/09/09 00:33更新 / キム ヒロ
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