サキソフォンの悲鳴
夜汽車が暗闇の中を速い獲物のように突っ走って行く
獰猛でプロフィールの美しい
男は都会に吠える 政治に吠える
均整のとれた美しい女は
青白くネオンに輝く
肉眼では捉えられない速さで何かが蠢いている
摩天楼は詩的にかたむき
マッチ箱のようになる
サキソフォンの悲鳴がラジオから聴こえる
現代の都会育ちの少女は愛すれば愛するほど
愛の広がりを小さな胸に感じている
カクテルの中のさくらんぼが
哀愁を織り交ぜたように醸し出す
少女は愛について深く考え
愛は育てるものだと知る
愛はもだえ息づいているものだと知る
一つの梨は過去に悲しい荒野にさすらい
二つめの梨は今日に精一杯もられ
三つめの梨は何かに追われ未来の汗を呼ぶ
少女は別れ際に大粒の涙をポロポロ流す
プ−ルサイドで見つけた恋に別れを告げる
摩天楼にある52階のバーのフロアでは
男女がけだるく踊っている
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