イノセンス
巧みにまた微妙に甘美な科学が統治する現代
文明の暗き森の都
刃物の戦争はさりロボットコンピューターの時代が来た
閉じ込められた疼く河から流れ出る狭歪な
粘膜の液 開放された情報の海へ流れ出る映像
台風七号はもう少しで種子島沖に上陸する
私たちは長い碇泊港を後にする
どんな冒険も新たな始まり 風速四十mの涙に向かって
開かれて行く意志の涙
痙攣する錆びた肉体 拒まれたエロティックな動き
撃たれた菩提樹の枝 略奪された都市
永遠が時の作り出すものと愛し合おうとも
君の百合が光を浴びて花咲く若さのように
大地の底に横たわる水脈 やわらかい身体
心象の扉を開けよう 切り抜いた時間のへりを覗く鏡
遠ざかる空間 場所に閉ざされた肉体を
静かな夢のまどろみに閃光が炸裂する
深い瞳の中の無感動な墳墓も割れる
あらゆるものに微笑みを 心の描いた情景を悲しみの調べ
引き潮の吼えるように巨大な組織の無力
新たな私の心象へ深く愛する者こそ
真の遺産 無垢な光がただ存在している
原世界に
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