僕のスカルラッティ

女王マリア・バルバラの機知と
憂しゅうが交錯する洗練された世界
スカルラッティの女王への献身と忠誠 

男性特有の陽気な笑い
一抹の悲劇的な情感
優美で雅な宮廷趣味
瞑想的なメランコリーを打ち破って情熱的なオペラ劇
自由なファンタジーと多彩な表情
スペインのフラメンコの情熱

聖ペテロ大聖堂の楽長から運命のいたずらで
イベリア半島に都落ちしたスカルラッティの諦観と憂愁

ホロビッツの弾くスカルラッティには
スリルに富んだ新しい再創造がある
驚異的に冴えた技巧がある
水晶のようなピアノ美の極み
ベェルサイユ宮の鏡の間の世界

鍵盤の上の音詩人
限りなく美しいロココの世界
僕のスカルラッティ
を女王マリア・バルバラのために作曲し近代クラビア奏法の父
と言われた。
(注 ドメニマリアコ・スカルラッティ:
1685年――1757年 イタリアの作曲家・新しい書法のロココ風のチェンバロ曲)

(注 ウラディミール・ホロビッツ:
1904年 ロシア生まれのアメリカのピアニスト・完全な技巧と豊かな
抒情性を持つ今世紀最大のピアニストの一人。)


24/11/18 17:29更新 / 平尾 直久
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