僕、空から落ち続ける。
僕、空から落ち続ける。
やがて、泡と遊離し始め、あらゆる人生の凝縮された瞬間へと戻っていく……。
「哲学の対義語は物理だというが、不確実的なのはむしろ物理であって……」
いくつもの時計の針の音が聞こえてくる。
「僕の聞いてる音楽がめっちゃ良くてさあ」
僕は水色に輝くトンネルを猛スピードでくぐり抜ける。
「え、明日旅行?」
「ごめん、僕、早く帰らないと、習字があって」
「せんざい、ぼくがかわりに買ってくるよ」
無重力に放り出されたような感覚。
「おかあさん、あのさ、」
『うん、どうしたん?』
僕は時間に操られている。時間が急に、真っ直ぐに進みだす。
『なに、どうしたんよ?』
人生というタイムグラフの中間地点では、顔の消された女の子が、幼き頃の自分と静かにグータッチをしている。
『なになに笑 どうしたの?』
あの女の子は、誰なのだろう。
「ありがとう」
あの女の子は……。
『うん。え、それだけ?』
「うん、それだけ」
『……うん。こっちこそ、ありがとう』
ゆっくりと目を閉じる。人生に、花束を……。
ぼく、そらからおちつづける。
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