真夜中のワンカット

モノクロの駅
白線の外側に佇む女 (ひと)

カシミアのコートに星が一つ流れて
冷めた線路に転がっていた

裏切り 嘘 虚栄心 疑い
腐りきった言葉たちに疲れ果てていた

左手の指に 錆びついた光が
鈍く纏わりついていた

黒髪に見え隠れする瞳に
いくつもの月が揺れていた

不意にその人は右手をふった

虹色の火花が散ったのは
すぐその後( あと )の事だった

プラットホームミッドナイト

投げ捨てたリングをはねて
たった今最終の列車が通り過ぎてゆく

見せかけだけの 唯 からかうだけの
場末のいたわりを乗せた列車はもう来ない

色づいた月が静かに浮かんでいる



25/11/27 17:04更新 / こころのふりこ
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