指枷
もう10年以上も前のこと…
ステンレスの指輪をしていた
百貨店のアクセサリー売り場で見つけた、ファッション用のステンレスで出来ているという指輪
温泉にもつけたまま入れるという店員さんの言葉が決定打となって
黒みを帯びたくすんだシルバーに光るシンプルなその指輪を購入した
あの指輪、重かったな
とにかく重かった
指の神経が痛くなるくらい
とにかく重かった
でも何かの呪縛のように
外せなかったあの指輪
重いのに
外したいのに
5年くらい外せなかった
そんな指輪を
ある時思いきって外した
指にくっきりと残って
なかなか消えなかった指輪の跡
それが目に入るたび
嫌でも思い出した呪縛の日々
指輪はもういらないな
あれは手枷足枷ならぬ
指枷だった
あれからもっと自由に生きたいと思った
本当の自由を手に入れたいと思った
こんなことを思い出したのはなぜなんだろう?
外が暗い雨降りだからかな…?
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