桜の日の記憶
毎年、桜の時期になると思い出すことがある
数年前の満開の桜の頃
振ろうと思っていた相手に振られてしまった
それはまさに青天の霹靂だったけど
自己中で高慢な彼だから
きっとその手を使うと思っていた
あの日見た満開の桜
高い場所から見下ろすと
それはまさに幻想的な桜の海で
その美しさはこの世のものではなかった
そんな桜の幻想美に酔いしれた日の翌朝
彼から卑劣なメールが来たんだな…
毎年この時期になると
そんな日のことをどうしても思い出す
あれから早くも6回目の春
不思議なことに
春を迎えて桜を見るたびに
どんどんどんどん
わだかまりは消えていくんだな
腹立たしいと思ったあの日のことは、じきにどうでもいいことになり
そしてまた春を迎えるたびに
少しずつ少しずつ記憶さえも薄れて行った
私はその人のことは憎んでないよ
だけど最初から会わなければ良かったと思ってるよ
でも、その人と向き合った日々があったからこそ
もっと大事にすべきものに気づけた
もっと大事にすべきもの
それは私の心
それに気づけただけでも良かったかな
今年もまた
この世のものとは思えぬくらいの
幻想的で美しすぎる桜を見に行く
きっとまた彼のことは思い出すよ
でも、それは好きだからじゃなく反射的に頭に浮かぶだけ
また桜が咲くよ
もうすぐ咲くよ
私は一生この瞬間に
あの日ひとつの恋を終わらせた自分の記憶と
ほんの僅かに向き合うんだろうな
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