明るいワラジムシの話
私は料理が上手じゃない
そもそもどうして女に生まれたのかな?
でももし男に生まれていたとしても
社会の荒波を渡っていけるほど
強い人にはなれそうにない
それなら何に生まれれば良かったんだろう?
少なくとも人間じゃないほうが良かったような気がする
10代のあの頃 私は
自分の部屋の壁によしかかって座るのが好きだった
体の何処かが壁に触れていれば
どういうわけか安心だった
そんな私の前世はもしかすると
ワラジムシなのかなとその頃思った
もし前世が本当にワラジムシなら
あの頃は良かったな
何も考えなくていい
生きていればそれでいい
ただ黙々と生きて
天寿を全うすればいい
苦手な料理もしなくていい
社会の荒波にも揉まれなくてもいい
ただ生きるべくして生きていく
そんなワラジムシがちょっと羨ましい
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