〇〇の末裔

よく耳にする
〇〇の末裔という話

それは本当かも知れないし
嘘かもしれない

嘘というよりは
その人の願望であり妄想かも知れない

どちらにしても
誰かの末裔だからといって
それがどうしたと言うのだろう?

そのプレッシャーに押しつぶされそうだと言う人もいる

逆にそれを鼻にかけて
ひけらかす人もいる

だが中には
そんなことを全く気にもしていない
自然体そのものの末裔もいるのだ

それは私が中学1年の頃
同級生になんと源氏の直系の男子がいたが
本人は至って普通の人で
期末試験目前だって
気にもとめずに野山を駆ける 
自分が源氏の直系なんて
全く意にも介さない
まわりも誰も気にしてない

いつも無口でニヤニヤと
静かに存在する彼には
自慢のかけらもさえも見当たらなかった

その後生きていく中で
様々な〇〇の末裔と遭遇した

自称 渋沢栄一の子孫
自称 伍代友厚の孫
自称 楠木正成の子孫

いろいろいたが
だからどうしたと言うのだろう?

みんなどこか鼻にかけて
俺は凄いんだぞと
まるで親を自慢するスネ夫くんのようだった

だけどあの源氏の直系の彼だけは
「そんなことどうだっていいや」
と体中で表すかのように
ただニヤニヤと静かに席に座っていた

お世辞にも美男子とは言えなかった彼が
実はあの牛若丸そっくりの顔立ちであったと私が知ったのは
その後15年くらい後のことだった…

現代まで受け継がれる源氏特有の顔立ち…
遺伝子の力の凄さを一人思い知った私だった…







24/12/16 15:57更新 / 志月
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