私の中の父の日

父の日も母の日も
何か遠い世界のことのように思えるようになったのは
いつの頃からだろう?

母は随分前からもういないし
父は今も病室で
意識なく昏々と眠り続けている

父には父の
母には母の人生があり
それぞれに歩み続けて
それぞれに生きてきた

そしてその頃のことは
刻一刻と過去へと追いやられ
そして忘れられ
いずれ跡形もなく消えていく

いつしか忘れ去られていく
母が生きた時代
そして父が今も生きる時代

そんな世界中の人々の生命の輪廻が終焉を迎えるのはいつだろう?

幸せな父ばかりとは限らない
そして
幸せな母ばかりとは限らない

そんな一抹のやるせなさを
この心に抱えながら

今日の父の日に
一瞬心の中で祈った私

懐疑的な感謝と
望み薄い回復への願い

本当に魂というものがあるならば
病室で意識なく眠る父にも
私の思いはきっと届くだろう

今意識はなくとも
父の魂は父の体で
今も静かに生き続けている



24/06/16 23:20更新 / 志月
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