虚空
本当の私はもういないのかも知れない
たまにそう思うことがある
そう思って鏡を見れば
やっぱり以前の私ではない
以前好きだった作家の本を
今は読もうと思えなくなり
以前好きだったポール・モーリアの音楽を
今は聴こうと思えなくなった
この世は実は夢なのかも知れない
ならば現実はどこにあるのか?
遠い空 遠い海 遠い山 遠い街
本当の私もどこか遠くへ行ってしまったのかも知れない
そんな虚空の思いの中
今日も私は家事をこなし
台所に立ち食事も作る
もうどれだけの長い時間
こうして生きて来たのだろう?
私のようで私ではない
でも実際にはきっと私で
そんな曖昧な意識の中
今日も半日が終わろうとしている
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