昔少女だったその子
昔少女だったその子は
少女の頃は目立たなくて泣き虫で
強い子にいじめられてばかり
幼くして世をはかなんでいた
希望なんて見いだせない
そんな昔少女だったその子は
いつの日か大人になったのに
いつまでも幼い頃の顔のままで
そんな自分の外見が嫌で
大人びた女性になりたいと思った
でもあれもこれもないものねだり
叶うことなど全くなくて
いろんなことを諦めていた
昔少女だったその子は
どうやっても自分以上にはなれなくて
幼く見られて軽んじられるまま
人並みに年だけは取っていった
昔少女だったその子は
ふと鏡の中の自分を見つめる
気づけば童顔で幼い目鼻立ちのまま
いつのまにか年を取っていた
気がついたらおばあちゃんだね
それなのに顔立ちは幼いままで
どう見たってチグハグだから
昔少女だったその子は
今度はそれが悩みになった
結局いつまで経っても
理想の自分になどなれなくて
昔少女だったその子は
いつまでも殻を破れずに
老いていくばかりの自分を嘆いている
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