森羅万象
恋する心を捨てた私は
女心を書けなくなった
あの子が虹の橋へと旅立ち
癒やされる時を失った
それから何年経ったのだろう
でもひとりの時は思いの外穏やかで
強がりなんてどこにもなくて
ただ静かに朝が来て夜が来る
そんな毎日が私には心地よい
「今日の夜にはお魚を食べようね」
自分の御魂に声をかける
夜も随分涼しくなった
秋が来て
過酷な冬がまた訪れる
だけどその後にはまた春が来て
たくさんの花たちが地表から顔を出し
そして芽吹き花を咲かせる
生きとし生けるもの
全ての命は繰り返す
私の命も同じ命
また春を迎えて花を咲かそう
小さくてもいいから
目立たなくてもいいから
花を咲かそう
そして命の灯火を美しく灯そう
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