知り合いのこと
友達と呼べるほどではないけれど
それなりに親しかった
ある知り合いの話
私は今日心の中の堪忍袋の緒が
静かにぷつんと切れた
その音を耳にして
平常心でそっとその人を切った
その人の話はいつも愚痴ばかり
そのほとんどが職場のオーバーワークについてだった
確かに過酷な状況らしく
その人は腰や背中や足首など、体のあちこちを怪我したり痛めたりしていた
気の毒なので話をしっかり聞いた上で、私も真剣に転職を勧めていたのだが
その人はなぜかそれを否定する
自分が我慢すればそれでいいのだと…
そう思うならなぜ私にちょくちょく愚痴るのだろうと思っていた矢先に
その人はついに右手の腱まで痛めてしまってドクターストップがかかった
いよいよ私は退職としばらくの休養を強く勧めたのだが
それでも本人は頑張るしかないという…
なんだか上手く言えないけど
今の今まで真剣に話を聞いて
心から心配もしたのに
なのにその人本人は
愚痴るばかりで現状を変えようとしていない
そのことに業を煮やして
私はついにその人を切ってしまった
こんな私は冷たい人間なのだろうか?
いや、そんなことはないと私は思いたい
今までずっとその人の相談に乗っていた
次々と怪我が増えていくのに
それでも仕事を辞めないその人は
頑張り屋さんなのだなと思ったこともあった
でも今こうして振り返ると
それはちょっと違うと言うことに
今更ながら気づいた
頑張り屋さんに見えるけど
そうじゃない
自分の力で現状を変えようとしていないだけだ
要は逃げているのだ
私だって人間だし
弱いところはたくさんあるから
人のことなんて言えないけど
でも、それでもその知り合いの話を聞かされることに心底疲れてしまった
その人とは知り合いで
決して友達ではなかった
切るべきときに切ったことで
きっとお互いが良い道を進めると信じたい
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