生きるということは素晴らしいらしい
突然海の真ん中に放り出されたから
溺れないためだけにもがいていたら
いつのまにか泳げるようになっていた
見渡す限り水平線
星も月も太陽もない
目印も行き先もない
合ってるかどうかも分からない
少しずつ身体は重くなる
だんだん荷物は重くなる
増えることはあっても
減ることは決してない
例えばそれを少し預けたり
半分ずつにしたりしながら
人はなんとか浮力を確保するらしい
まるで僕とは大違いだな
抱えた荷物にのしかかられて
遠のく水面と近づく水底
肺の酸素がなくなった
ひとりで頑張って泳いで
手に入れたものは
心に絡みついた鎖と
両足に絡まった重りと
溺死という最後だった
一番苦しい死に方らしい
他の死に方を知らないから
本当かどうかは分からないけど
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